ソウルに来て1年。ソウル全てをわかりきったつもりでいた私。でもあまかった。私が知らないソウルがまだまだごろごろと、転がっていたのである。それもソウルのど真ん中に・・・。今回のツアーは、伝統文化が集まる街めぐり。韓国伝統の餅作りが出来るんだって―。たのしみー。
まず、到着したのはきょんぼっくん近くの韓定食屋さん。
その通りは、おいしいお店が並ぶと最近韓国でもブームらしい。ちょっといいものたべにいこうか。とか、静かでいいお店行きたいなって時はこの通りに来るみたい、最近のマダムは。
その通りの真ん中辺にあるお店で、まずは腹こしらえ。「ちんじさん」といわれる韓定食を食べたよ。まず8種類くらいあるうちから好きなおかずを選ぶ、私は「へむるてんじゃんちげ」(海産物の味噌なべ)を頼んだ。チゲの他にも、辛いソースがからまってるさかなや、にくいためなどがあった。
料理はひとりひとり小さなお皿がたくさんのった台で運ばれてきた。「わーすごーい。」思わずみんな一斉に叫んじゃった。だって、小さなお皿に、素朴で韓国の家庭でよく出てくるおかずが、たっくさんならんでるんだもん。その横には、私の大好きなチゲが、おいしそうにぐつぐついっている。
「あーーーー。どれからたべればいいんだろー・・・」迷いバシしっぱなし。隣のお姉さんは、にくいためを頼んだんだけど、サンチュとかの緑黄食野菜までついてきた。それに肉を巻いて食べるんだって。
(いいなあ・・・おいしそうだなあ・・・)と、横目でちらっと(じーーーーーと)見ながら、自分の分を早速食べてみる。
(素朴な味。懐かしい感じだな・・まま元気かなあ・・)なんてママを思い出す味。
ところで、韓国ではたくさんあるおかずをみんなで突っつきながら食べる習慣なんだけど、ここでは珍しく、日本のように、一人一人食べるようになっているので、みんなと突っつくのが苦手な人にも大丈夫。たべんのが遅い人も誰にも取られないで食べれるよ!量もたっぷりで、ご飯とメインのチゲだけでもおなかいっぱいになっちゃって、私なんてほとんど残してしまった・・・。タ―ップリ食べた後はメシル(梅)ジュースのサービス。
冷たくてあま―いジュースで口直し。ほんっとによーくたべました。ごちそうさまでした。
食事の後、私たちは店の周りを散歩をすることに。とっても静かで、ソウルじゃないみたい。山に上がる道は恋人たちのドライブコースとなっている。
最初に向かったのは、生漆工房のシンジュンヒョンさん。
自宅に訪問っていうのが妙にウケタ。中に入ると、おじさんが、「お!いらっしゃーい。」なんて、迎えてくれちゃって、おばちゃんまで顔みせて「いらっしゃーい」って、ふっつーに親戚んちにお呼ばれした気分。「なかはいっていいよーーー」なんて、とぼけたこえで叔父さんは中に通してくれた。
すると、なかにはたくさんの無造作につまれた漆の食器。(え!これたかいんじゃないの???いいのか?こんなにふっつーにおいといて・・・)と驚いていると、もっとショッキングなことが・・・。なんと、このふっつーのおっちゃん、無形文化財――――――!!
まじゅい????食器だけじゃなく叔父サンまで無造作に置かれている…。いいのか?韓国?こんな無造作に無形文化財を放置しておいて・・・。
叔父サンは、のほほーんと、「ここでぬるの。んで、10回とかぬるの。そすると、こうなるの。これ、売ってもいいの。ここでしかうらないの。」と話す姿がとってもチャーミング。無形文化財ってきくと、超おっきい家で、優雅に過ごしてるイメージだったけど、目の前にいるおじちゃんはどーうみても違う。だって、イメージと現実のギャップとの間で私が戦ってる間にもこのおっちゃん、友達が持ってきた焼酎を私たちに「のめばあー??」って注いでくんのさ。もうわからない・・・・さっぱりわからない・・・現実かあ?これ?
でもおっちゃんは(おじちゃんとももうよべない)、漆について少し質問をしたら、目の色を変えて真剣に漆についての話をしてくれた。その顔はまさしくプロの職人で、ステキだった。
おっちゃんは職人だ。無形文化財になったからってえばるわけでもなく、辞めるわけでもなく、おっきな家に引っ越すわけでもない。ただ自分の愛する生漆を作りつづけるのみだ。そんな姿が私はとっても感動して、おっちゃんが大好きになった。また会いに行きたいなー。でもいってもおっちゃん覚えててくれてるかな―?
おっちゃんの家を出て帰り道、一軒のおしゃれな佇まいのギャラリーを見つけ。
お茶を売っているお店だが、外からは陶器のお店に見える。
ゆったりとした空気が流れていて、予定になくてもふと入ってみたくなるそんな雰囲気のお店だ。この街はふと寄って見たくなるような、ちょっときになるお店がおおい。ツアーの間にも気になるお店を見つけたら、ちょっと寄ってみるのもいいだろう。そしてどこも商売ッ気が全く感じられない。
次に向かったのは、世界唯一の作品として言われる烏竹匠 保有者 ユンビョンフンさんの作品展示館。
そこには、お弟子さんである、若い女の子がいて、竹の魅力を存分に語ってくれた。竹と師匠をこよなく愛し、それを出来る限り素人の私たちに伝えようとしてる姿が、ほんとにほんとに、ほほえましかった。
私は工芸とかぜんぜんしらないので、「この部分が美しいのです!」(キラ!)とかされても、「へー」としかいってあげられなかったけど、工芸に興味がある人は、楽しいかもしれない。作品を見ることはもちろん、彼女に会えることも、きっと、工芸とか、美術とかしてる人は、これから作品を作っていく上でもプラスになるんじゃないかな?これが芸術家なんだっていう強い意識を持ってる子だから、なにかしら影響を受けると思う。
最後は今日ののメインイベントの餅作りの場所、韓国伝統文化研究所へ!!
ここでちょっとだけの町情報!(^^)
カフェドンは、今でも昔の韓国スタイルの家が立ち並んでいる街。むかし、ここは両班と呼ばれる韓国の高級官僚たちがすんだ街だ。そして、今も、韓国の財閥や政治家などのお金持ちのお屋敷街でもある、お金持ちが集まる場所なんだって。ソウルの真ん中という、交通の便の良さに加えて、山の上にあるので静かですみやすい場所。大きなお屋敷街を、ああ、いつかは私もこんなお屋敷に住みたいと思いながら散歩をするのも楽しいでしょう?
お屋敷街をずーっとのぼっていくと、突然、昔作りの家屋がずらーーーとならんだ通りが出てきた。大河ドラマのなかにぽっとはいったような不思議な感覚。
その道をずーっと登っていったつきあたりに、私たちの目的地、韓国伝統文化研究所があった。中は小さく、昔の生活そのまんまだ。味噌がつけてあったり、梅が干してあったり。タイムスリップしたみたい。すると中から「オソオセヨ」(いらっしゃい)と、上品そうな声が聞こえたと思ったら、美人なおかみさんが、ハンボクをきてでてきた。
その家に自然に馴染んでて、この人、ほんとに現代の人なのかしらと思うくらい。今日はそのおかみサンが先生となって、韓国伝統のお餅をつくって食べるという体験ツアーだ。
先生は上品な話し方で、家屋の中を紹介してくれた。時々、「日本語ではうめぼしよね?」とか、「そうそう、アイロン。」と外国語を使うのが妙にかわいかった。(この人はきっと昔の韓国の貴族だわ・・・)と、へんなことを考えながら、先生の説明を聞いていた。ここでは、コチュジャンとかキムチとかいろんなものを手作りしていて、餅つきもできるらしい。
お餅は、表になつめや、はっぱで花の形を作って、静かにやく。真っ白いお餅にきれいな花がとってもかわいらしい、韓国の伝統御菓子だ。韓国人も作ったことがない人がたっくさんいるらしく、最近の人はかって食べるそうだ。先生は冗談っぽく私に、「韓国人と結婚したかったら、これを覚えなさい。お義母さんが驚いて、ポイントアップよ!」とわらった。
「なぬ???ポイントアップだって??」私はだんぜんやる気―――!「よし!ぜーったい覚えてかえってやるうー」と気合満点!!腕まくり。
先生は早速、餅ごめを、あったかいお湯でよーくまぜて、形を整えて、なつめとはっぱをのせて、油で焼いた。
「はい!やってみましょう。」(にっこり。)
(えっっ???え???それでおしまい??? 超簡単ジャー―――ン。)なんか、拍子抜け。これでポイントアップなんてお得スギだよー!
やってみても超簡単。化学の実験してるみたく、フライパンをじーっとみつめてお餅を焼いて、やきあがったら少し砂糖をつけてできあがり。
(お餅の上のだんだん花の形がかわいくなくなってんのはきのせい・・・?きのせいだよねー)と、自分を慰めてたら、あっというまに全―――部完成!
(食べたい。でも、もったいないなー。かわいくて・・・)
「早速試食と行きましょう。」先生は、オミチャという、赤くて冷たくてちょっとすっぱいお茶を出してくれた。のどからおなかまで、すーーーーと気持ちいい爽快感。それといっしょに先生が出してくれたのは、これまた先生の手作り、ムルオイキムチ(水に漬かったきゅうり)。辛くないし、口の中が爽快でオイシー―――。お餅のほんのりした甘さとオミチャとキムチのほんのりすっぱさが、マッチしていた。
先生は作りながらいろいろな話をしてくれた。私は、先生のゆったりとした雰囲気と、この非現実的な空間で先生が「これでプログラムを終わります。」というまで、時間が過ぎるのに全くきづかなかった。先生のその言葉で現実に戻された私たちは、先生に挨拶をして、研究所を離れた。非現実の異様な気持ちのままで…
この街はあったかい。私の一番の感想だ。町全体が昔の雰囲気そのまま、何にも、誰にも媚びることなく、自然だ。まさしく非現実だ。そうだ、ここは「非現実」っていう単語がぴったりかもしれない。
人も温かい。みんな自分一人一人に愛する芸能をもっている。そしてそれをしっかり守っている。自然に。ごくごく自然に・・・。漆作りのおっちゃんも、竹作りの女の子も、お餅体験の時のおかみサンも・・・みんな自分の愛するものを、誰かに押し付けるわけでもなく、だからといって一人占めするのでもなく、商売するという気すら全くない。みんなホントに純粋にそれぞれの伝統を愛しているのがひしひしと伝わった。だからちょっと恥ずかしくなっちゃった、自分が。
自分が最近お金や欲にまみれて自分のホントに愛するものを失っちゃってんじゃないかな?って。私にはそこまで、愛し守れる強いなにかがあるかな?って。それを持ってる人は強くて、輝いてて、なによりステキなんだっていうことにきづいた。
このツアーは、韓国の伝統文化に触れてみたいって人にはもちろんのこと、そういうのに興味のない、たとえば私のようなちゃらんぽらんな人にも是非行ってほしいツアー。
伝統芸能に触れることもできるし、なにより、私はみんなに、あのすばらしい人たちにあってほしいと思う。彼らに会った後は、その辺の静かな喫茶店に入って、韓国伝統茶を飲みながら、たっぷり一人のゆったりした時間を持ちたくなるだろう。そして、ほんの少し自分がかわったことに気づくかもしれない。影響されようと思ったわけじゃないのに、彼らは私に大きく影響を与えたと思う。それは竹に興味を持ったとか直接的なものじゃ、けしてない。すごく間接的で、すごくぼやけたもの。でも、確実に影響さえたと思う。心の奥のおくっかわの何かを変えてくれたような…。
今はまだはっきりなにかはわかんないけど、私は自分が変わったってことだけははっきりとわかる。不思議な人たち。不思議な街。全てが非現実・・・。
家に着いて、部屋の汚さでいっきに現実に戻された。夢の中にいたみたいななんとも言えない感覚。みなさんにもぜひ味わってもらいたいです。
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